頌栄女子学院_帰国生案内
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②むねかだとなゆすA①となうあえかB③-7--8-くろねこだいじようぶえいがふたごじゅうさんさいむかあせどろるすまじよぜんざいさんよすみこわまじょたっきゅうびんひとはなはげきょだいいらいさんあみやくそくせんたんしたあらたかくごおくあくませなかアニメーション映画でも有名な『魔女の宅急便』の主人公キキは、ほうきに乗って荷物を運ぶ宅急便屋さんを開業しました。そして大人になって双子のお母さんになりました。子どもたちの名前は、女の子のニニと男の子のトト。魔女のしきたりでは、十三歳になった女の子は生まれ育った町を離れ、独り立ちをして新しい生活を始めることになっています。ニニも、もうすぐ旅立ちの日を迎えようとしています。しかし、ニニはまだ、キキのような魔女になる覚悟ができていないようです。ある日、キキの留守の間に宅急便の依頼の電話がありました。お客さんはずいぶんあせっているようです。ニニは仕方なくをおすように、ニニを見ました。体をこわばらせました。右後方はるかむこうから、ものすごく黒い雲が、まるで悪魔のしっぽのようにのたくり三次の文章を読んで、後の問いに答えなさい。(問題文中の※は、終わりに注があります。また、問題文の一部を書き改めてあります。)黒猫のブブとともにお客さんの家に向かってほうきで飛んでいったのですが……。「わたし、魔女です。電話でたのまれて……」ニニはいいかけて、口をつぐんでしまいました。ふたりの目は、とってもがっかりしているようでした。「まだ、子どもじゃないか」男のほうが汗と泥にまみれた顔でつぶやきました。「でも、あんた…おねがいしなくちゃ」女の人は、泣いている子を揺すり上げながら、いいました。この人もがっかりしている様子をかくしません。「大丈夫ですよね」「予定日過ぎているのに、生まれないんです。はじめてのお産なんです。苦しんで、苦しんで。わたしたちにとっては、たいせつな馬。全財産なんです」ニニは急いでシーツをひろげました。「もっと大きなものもってきます」女の人は急いで、走っていくと、魚をとる網をひきずってきました。「これをかごにしたら」女の人と、男の人は急いで四隅にロープを通しました。「大丈夫ですか、これで……」ニニは、大丈夫もなにも、怖くって、うなずくこともできずに、ふたりは力いっぱい馬をはげまして、網の上まで歩かせました。ニニはもってきたシーツを馬の上にかけました。「おねがいです。なんとか、コリコ町立動物園のママ先生のところまで運んでください」「はい」ニニはふるえながら、うなずきました。でも、馬はニニの十倍ほども大きいのです。はたしてもちあがるでしょうか。ニニはロープのはじをほうきの柄に通すと、またがりました。足で地面を思いきりけると、荷物はずずっとひっぱられ、おや、まあ、ありがたいことに、浮き上がりました。ほうきの柄がいまにも折れそうにしなっています。ブブがあわてて馬の背中に飛びのります。ほうきはよろろよろろと、すこしずつ地上をはなれていきます。落ちてきたら受けとめるつもりでしょうか、馬主のふたりは両手を空中にささげて、泣きそうな顔をしています。ニニはそれを見て、力を入れて口をぎゅっとむすびました。おひさまは元気に光っています。時計を見ると、約束の時間まで、あと三十分はあります。このままいけば、すこしの遅れで、すみそうです。ニニはほっとして、息をつき、馬の様子を気にしながら、方向を変えました。そのとたんニニはながらこっちにむかってきます。「やばい!」ブブがさけびました。「もどったほうがいい」「まだ遠くだから、あれよりはやく飛べば。前をすりぬければ……」ニニはぶらんぶらん落ち着きなく揺れる馬にあわてながら、「このまま、いってみる!いかなくちゃ」とさけびました。そして、高いところをめざし、足を激しく動かしました。胸はもうはれつしそうにどきどき鳴っています。「大丈夫、大丈夫よ。約束には、きっと間に合わせてみせる」と、ニニは自分にいいつづけました。(でも、なぜ、なぜ、さっきまであんなにしずかだったのに)黒い雲はみるみるひろがってきます。先端が急にのびて、巨大な舌のように、ニニをからめとろうとします。すりぬけるなふるえています。−20−

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