頌栄女子学院_帰国生案内
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本校は創立130年以上の長い伝統を誇る学校です。また、早くから帰国生を積極的に受け入れてきた学校としても知られています。特に創立100周年以降は、帰国生の占める割合が飛躍的に伸び、この15年間はほぼ全校生徒の20%が帰国生という状態を堅持しています。どうして帰国生を受け入れるようになったか。それは帰国生のもつ素晴らしい資質に早くから注目していたからに他なりません。一時的にしろ、日本文化から離れ、全く違った価値観の中で育った経験は、これからの国際社会を生き抜く上で大きな財産となります。またそうした異文化の中で世界を見てきた経験をもつ帰国生と共に学ぶ一般生にとっても大きな刺激となります。互いがそれぞれの長所を引き出しあえる関係、それこそが頌栄女子学院の目指す「国際的感覚をもった人間形成」に繋がります。帰国生が帰国生らしさを発揮するためには、同じような経験をもつ仲間が身近にいることが必要です。本校では帰国生を5クラス中、3クラスに分散し(2023年入学生は2クラス)、一般生との混合クラスを作っています。そうすることにより、クラスの1/3強が帰国生という環境が整います。本校の帰国生は誰に遠慮することなく身につけた英語を使い、明るくポジティブな帰国生の特質を保ち続けることができます。この「クラスの1/3強」という絶妙の割合が、ある種の化学反応を起こさせ、一般生と帰国生それぞれの持ち味を何倍にもして引き出し合います。帰国生はよく、「自己主張が強い」、「協調性に欠ける」などと言われることがありますが、これはステレオタイプの誤ったイメージだと思います。むしろ、帰国生は異質な者に対して一般生よりずっと鷹揚で寛大です。これは彼ら自身が、懐の深い、歴史に裏打ちされた欧米型の個人主義によって少数者としての尊厳を守られた経験をもっているからではないでしょうか。「私は私でありたい」という思いが強いからこそ、他者を他者として認める素地ができているのです。集団における調和を偏重するあまり、目立つ者、異質なものを排除しがちな文化の影響を受けて育った一般生にとって、「ありのままの自分」を認め合う個人主義的大らかさは、非常に新鮮で、また心地よいものとなります。頌栄生の80%近くを占める一般生は、少なくとも中学・高校在学中に一度はこの「混合クラス」を体験できるよう配慮され、クラス替えが行われます。中1の間でこそ顕著だった「混合クラスの特質」は、学年が進むにつれ全体に広がり、やがて学校全体が混合クラスの特質を持つようになります。すなわちこれが、頌栄のスクールカラーと呼ばれるものだと思います。よく頌栄の生徒は「明るく元気」というイメージを持たれますが、全員が同じように陽気な性格という意味ではありません。むしろ、実に様々な個性の生徒が頌栄には存在します。その一人一人が自分らしく、自然に振る舞える環境が生徒の表情を活き活きと輝かせ、「明るく元気」な−4−「帰国生をどのように受け入れ、どのように育てるか」

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